2026年10月21日

健康診断で「肝機能障害」「肝機能異常」「AST・ALTが高い」と指摘されたことはありませんか?
当院でも、健康診断で肝機能の異常を指摘され、精密検査を目的に受診される方が増えています。
肝機能の異常にはさまざまな原因がありますが、近年、特に注目されているのが脂肪肝です。
脂肪肝は、食生活や運動習慣、肥満、糖尿病、脂質異常症などと関係が深く、お酒をあまり飲まない方や、見た目が痩せている方でも発症することがあります。また、自覚症状がないまま進行し、一部では肝硬変や肝がんにつながる可能性もあります。
今回は、健診で肝機能障害を指摘された方に向けて、脂肪肝の原因や進行リスク、必要な検査、改善のためにできることについて解説します。
1.健康診断で指摘される「肝機能障害」とは?
健康診断では、血液検査によって肝臓や胆道に異常がないかを調べます。主に確認する項目は、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP(γ-GT)、ALPなどです。
それぞれの項目には、次のような意味があります。
✅AST(GOT)・ALT(GPT):肝細胞が傷ついたときに血液中で上昇する酵素です。特にALTは肝細胞の障害を把握するうえで重要な指標です。
✅γ-GTP(γ-GT):飲酒や脂肪肝、薬剤の影響などで上昇することがあります。胆道系の異常でも上昇します。
✅ALP:胆汁の流れが悪くなる病気などで上昇することがあります。肝臓以外の要因でも変動するため、ほかの検査結果と合わせて判断します。
肝機能障害の原因としては、脂肪肝、アルコールによる肝障害、ウイルス性肝炎、薬やサプリメントによる肝障害、自己免疫性の肝疾患、胆道系の病気などが挙げられます。
日本肝臓学会は「奈良宣言2023」において、健康診断などでALTが30を超えた場合には、かかりつけ医などへの受診を勧めています。
数値の上昇が軽度であっても、慢性的な肝臓の病気が隠れていることがあります。健診で異常を指摘された場合は、数値だけで判断せず、原因を確認することが大切です。
2.増加する脂肪肝とは?お酒を飲まなくても発症する
脂肪肝とは、肝臓の細胞に脂肪が過剰に蓄積した状態です。
食べ過ぎや運動不足などの生活習慣に加え、肥満や内臓脂肪の蓄積などが関係して発症します。また、糖尿病や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病とも深く関係しています。
近年、特に注目されているのが、代謝異常と関連する脂肪性肝疾患です。
MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)とは?
従来「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼ばれていた病気は、近年、診断基準や名称が見直され、「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」という新しい概念が導入されました。
MASLDは、肝臓への脂肪の蓄積に加え、肥満、血糖値の異常、高血圧、脂質異常症などの代謝異常を伴う病気です。
日本でも脂肪肝は身近な病気であり、健康診断の受診者の約4人に1人から3人に1人に認められたとの報告があります。
脂肪肝は、お酒をあまり飲まない方や、肥満ではない方にもみられます。 そのため、飲酒量や体型だけで判断することはできません。
3.脂肪肝を放置するとどうなる?
脂肪肝は、初期には自覚症状がほとんどありません。健康診断で異常を指摘されても、体調に問題がないため、そのままにしてしまう方も少なくありません。
しかし、脂肪肝の一部では、肝臓に炎症が起こり、肝細胞の障害や線維化が進行することがあります。
代謝異常に関連する脂肪性肝疾患のうち、肝細胞の障害や炎症を伴う病態は「MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)」と呼ばれます。従来の「NASH」に相当する病態です。
進行すると、次のような経過をたどる場合があります。
✅脂肪肝:肝臓に脂肪が蓄積した状態
✅MASH:脂肪の蓄積に加えて、肝細胞の障害や炎症が起こった状態
✅肝硬変:肝臓に線維組織が増え、進行すると肝臓の正常な構造や働きが損なわれる状態
✅肝がん:慢性的な肝障害を背景として発症することがある
ただし、脂肪肝がある方の全員がMASHや肝硬変に進行するわけではありません。
脂肪肝の進行リスクは、糖尿病の有無や肥満、飲酒習慣などによって異なります。近年の研究では、特に肝線維化(肝臓が硬くなる変化)の程度が、その後の病気の進行や予後に大きく関係することがわかってきました。
また、脂肪肝は肝臓だけの問題ではなく、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患とも関連しています。
そのため、肝機能の数値だけでなく、肝臓の状態や生活習慣病の有無も含めて評価することが大切です。
4.脂肪肝を改善するには?食事・運動・体重管理のポイント

脂肪肝を改善するためには、食事や運動などの生活習慣を見直すことが基本となります。
特に、内臓脂肪の蓄積や血糖値、血中脂質の異常は肝臓への脂肪蓄積と深く関係しているため、日々の生活習慣を整えることが大切です。
食事を見直して、肝臓への脂肪蓄積を防ぐ
脂肪肝の改善には、食事の量だけでなく、栄養バランスや糖質・脂質の摂り方にも気を配ることが重要です。
✔️糖分の摂り過ぎに注意する
ジュースや加糖飲料、菓子類などを頻繁に摂取すると、エネルギーの過剰摂取につながります。特に、果糖を多く 含む清涼飲料などは控えめにしましょう。ジュースや加糖飲料、菓子類などを頻繁に摂取すると、エネルギーの過 剰摂取につながります。特に、果糖を多く含む清涼飲料などは控えめにしましょう。
✔️食べ過ぎを避ける
日常的な過食は内臓脂肪や肝臓への脂肪蓄積につながります。腹八分目を意識し、適切な食事量を心がけましょう。
✔️栄養バランスを整える
野菜、豆類、魚、全粒穀物などを取り入れ、特定の食品に偏らない食事を目指しましょう。
極端な糖質制限や断食を行う必要はありません。無理なく続けられる食習慣を身につけることが、脂肪肝の改善につながります。
有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせる
運動には、肝臓に蓄積した脂肪を減らし、血糖値や中性脂肪などを改善する効果が期待できます。
ウォーキングや自転車などの有酸素運動に加え、スクワットなどの筋力トレーニングを取り入れることも効果的です。まずは日常生活で歩く機会を増やすなど、無理のない範囲から始めましょう。
体重が大きく減らなくても、運動によって肝臓の脂肪が減少することが報告されています。
大切なのは、自分に合った運動を継続することです。
肥満がある場合は、適切な体重管理を
肥満や過体重の方では、減量によって肝臓に蓄積した脂肪や肝機能の改善が期待できます。
一般に、体重の5%程度の減少で肝臓の脂肪が減り、さらに減量することで肝臓の炎症や線維化の改善も期待できるとされています。
ただし、急激な減量を目指すのではなく、食事と運動を組み合わせ、無理のない範囲で継続することが大切です。
飲酒量を見直し、生活習慣病も適切に管理する
過度な飲酒は、脂肪肝や肝障害の原因となります。脂肪肝を指摘された場合は、飲酒量を見直し、肝臓の状態に応じて減酒や禁酒を心がけましょう。
また、糖尿病、高血圧、脂質異常症などは、脂肪肝の進行リスクとも関連しています。食事や運動などの生活習慣の改善に加え、必要に応じて適切な治療を受けることも大切です。
5.まとめ
健診で肝機能障害を指摘されたら、早めに原因を確認しましょう
健康診断で肝機能障害を指摘されても、自覚症状がないことは珍しくありません。しかし、脂肪肝だけでなく、さまざまな肝臓の病気が隠れている可能性もあるため、放置せずに原因を確認することが大切です。
当院では、血液検査や腹部超音波(エコー)検査などを通じて肝機能障害の原因を調べ、必要に応じて専門医療機関とも連携しながら、適切な診療を行っています。
健康診断でAST・ALT・γ-GTPの異常を指摘された方や、脂肪肝が気になる方は、お気軽にご相談ください。
当院の特徴

・専門医による診察
日本肝臓学会・日本消化器病学会・日本内視鏡学会の専門医が診察を行います。
・土曜日、日曜日の胃カメラ・大腸カメラに対応
平日はお仕事や家事でお忙しい方でも、週末を利用して無理なく検査を受けていただける体制を整えています。
・検査当日の「日帰りポリープ切除」が可能
大腸がんの原因となるポリープが見つかった場合は、検査時にその場で切除し、将来のがんを予防します

