過敏性腸症候群(IBS)のはっきりとした発症原因はまだ完全には解明されていませんが、一つの原因だけでなく、ストレスや体質、食生活など複数の要因が複雑に関係し合って発症する「多因子性の疾患」と考えられています。
01 ストレスによる自律神経の乱れ
小腸や大腸の働き(消化・吸収・排泄)は、脳からの指令を伝える「自律神経」によってコントロールされています。脳と腸は、自律神経やホルモンを介して常にお互いの情報を交換し合っており、この密接な関係を「脳腸相関(のうちょうそうかん)」と呼びます。
不安や緊張などの精神的ストレスがかかると、脳からの信号で自律神経のバランスが乱れ、腸の収縮運動が過剰になったり、けいれんを起こしたりします。同時に、腸からの信号も脳へ過敏に伝わるようになり、悪循環に陥ってしまいます。
02 腸内環境の変化
細菌やウイルスによる感染性腸炎にかかった後、IBSを発症しやすいことが明らかになっています。
感染によって腸の粘膜がダメージを受けたり、腸内細菌のバランスが崩れたりすることで、腸の運動機能や知覚機能が過敏になるためです(感染性腸炎後IBS)。
03 腸の知覚過敏
腸の粘膜が敏感になり、痛みを感じやすくなっている状態です。
健康な人であれば気にならない程度の「ガスの発生」や「便の移動」、「腸の収縮」といったわずかな刺激であっても、脳が「強い痛み」「不快感」として誤って認識してしまうことで、腹痛や苦しさを生じさせます。
04 食事の影響(FODMAP)
近年、特定の食品に含まれる糖質が、IBSの症状を引き起こす原因になることが分かってきました。これを「FODMAP(フォドマップ)」と呼びます。
FODMAPとは小腸で消化・吸収されにくい「発酵性の糖質」の頭文字をとった言葉です。
注意が必要な「高FODMAP食品」の例
※すべてのFODMAP食品が悪いわけではなく、何が症状の引き金になるかは個人差があります。