2026年10月06日

「食後になるとお腹が張る」「夕方になるとズボンがきつくなる」「ガスがよく出る」「お腹にガスがたまって苦しい」――このような症状で悩んでいる方は少なくありません。
お腹が張ると「腸にガスがたまっているのでは?」と考えがちですが、原因はガスだけではありません。
便秘や過敏性腸症候群、食事、腸の動き、胃腸の知覚過敏など、さまざまな要因が関係しています。また、症状が長く続く場合には、消化管の病気が隠れていることもあります。
この記事では、お腹が張る・ガスが多いと感じる原因と対処法、受診の目安について解説します。
腹部膨満とは?
腹部膨満とは、お腹が張る、膨らんでいるように感じる、苦しいといった腹部の症状を指します。
食事や便秘などによって起こる場合もあれば、胃腸の機能や知覚の変化が関係することもあります。また、症状の現れ方も、「食後に張る」「夕方になると強くなる」「便秘のときに悪化する」など個人差があります。
そのため、腹部膨満が続く場合には、いつから症状があるのか、どのようなときに強くなるのか、食事や排便との関係があるのかなどを確認することが、原因を考えるうえで重要です。
お腹が張る・ガスが多い主な原因
腹部膨満にはさまざまな原因があります。代表的なものとして、次のようなものがあります。
1.食事や早食いによるガス
腸内では、食物の一部が腸内細菌によって分解・発酵される際にガスが発生します。また、食事を急いで食べると空気を多く飲み込み、げっぷやおならが増えることがあります。
特に、豆類、玉ねぎ、にんにく、小麦製品、乳製品、一部の果物、炭酸飲料、人工甘味料を含む食品などが、症状に関係することがあります。
ただし、これらの食品がすべての人に症状を起こすわけではありません。食べると症状が出やすい食品には個人差があります。
2.便秘
便秘は、腹部膨満のよくある原因の一つです。
便が腸内に長くとどまると、便そのものによる張りに加えて、ガスが排出されにくくなることでお腹の張りが強くなることがあります。「毎日便が出ているから便秘ではない」と思っている方もいますが、排便回数だけで便秘を判断することはできません。
例えば、便が硬い、強くいきまないと出ない、排便後も残っている感じがする、トイレに長時間かかる、便が少量ずつしか出ないといった症状も、便秘を考える重要なサインです。
3.過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群は、腹痛や腹部不快感に加えて、下痢や便秘などの便通異常を繰り返す疾患です。
「お腹が張る」「ガスが多い」という症状もよくみられる症状の一つです。
IBSでは、腸の動きが変化しているだけではなく、腸と脳の相互作用の変化や内臓知覚過敏などが症状に関係しています。そのため、腸内のガスが特に多くなくても、強い腹部膨満感や腹痛を感じることがあります。
「お腹が痛くなってトイレに行くと楽になる」「緊張するとお腹の症状が悪化する」「便秘と下痢を繰り返す」といった場合には、IBSが関係している可能性があります。
4.機能性ディスペプシア(FD)
機能性ディスペプシア(FD)は、胃もたれ、食後の膨満感、早期満腹感、みぞおちの痛みや灼熱感などの上腹部症状が続く疾患です。胃カメラなどで症状の原因となる明らかな病気が認められないことが特徴です。
胃の動きや知覚の変化などが関係すると考えられています。特に、食後に胃が張る、少量の食事で満腹になる、胃もたれが続くといった症状が目立つ場合には、FDが腹部膨満感の一因となっていることがあります。
5.SIBO(小腸内細菌異常増殖)
近年、腹部膨満やガスとの関連で注目されているものの一つに、SIBO(Small Intestinal Bacterial Overgrowth:小腸内細菌異常増殖)があります。
通常、小腸には大腸ほど多くの細菌は存在しません。しかし、小腸の動きが低下するなどで、小腸内で細菌が増え、発生するガスによって腹部膨満、腹痛、下痢などの症状につながることがあります。
SIBOは腹部膨満の原因の一つにすぎず、症状だけで診断することはできません。必要に応じて、症状や既往歴などを確認したうえで検査を検討します。
6.薬剤や基礎疾患が関係していることも
薬剤の副作用や基礎疾患によって胃腸の動きが低下することでも起こります。
例えば、オピオイド系鎮痛薬、鉄剤、抗コリン薬などの便秘を起こしやすい薬剤では、便通の変化に伴ってお腹の張りが生じることがあります。一部の糖尿病治療薬では、胃腸の動きや消化管症状に影響し、腹部膨満につながることがあります。
また、糖尿病などの基礎疾患によって消化管の運動が低下し、腹部膨満や食後の胃もたれが生じる場合もあります。
「ガスが多い」と感じても、ガスだけが原因とは限りません
「おならが多い」「お腹にガスがたまる」と感じると、腸内でガスが大量に作られていると思うかもしれません。
しかし、腹部膨満の感じ方には、腸内のガスの量だけでなく、腸の動きや腸の感覚の敏感さも関係します。
そのため、ガスを減らすことだけを考えるのではなく、便秘や下痢がないか、食事との関係があるか、腹痛を伴っているか、排便すると症状が改善するか、胃もたれや早期満腹感がないかなどを含めて考えることが大切です。
お腹の張りを改善するためにでできること
腹部膨満が軽く、明らかな警戒症状がない場合には、まず生活習慣を見直してみましょう。
食事をゆっくり食べる
早食いは空気を多く飲み込む原因になります。食事はよく噛み、時間をかけて食べることを心がけましょう。
炭酸飲料を控える
炭酸飲料は、飲み物そのものに含まれる二酸化炭素によって、げっぷや腹部膨満を起こすことがあります。
便秘を改善する
腹部膨満と便秘が一緒にある場合は、ガスだけを減らそうとするより、便通を整えることが重要です。十分な水分摂取や適度な運動、食生活の見直しなどを行いましょう。
症状が出やすい食品を確認する
「この食品を食べると必ずお腹が張る」というものがあれば、一度摂取量を減らして症状の変化を確認する方法があります。
近年は、IBSなどに対する食事療法として低FODMAP食が注目されています。
FODMAPとは、消化・吸収されにくく、腸内で発酵されやすい糖質の総称です。低FODMAP食によって腹部膨満や腹痛などの症状が改善する方もいます。
ただし、自己流で多くの食品を長期間制限すると、栄養バランスを崩す可能性があります。必要に応じて医師や管理栄養士に相談しながら行うことが大切です。
お腹が張るとき、胃カメラや大腸カメラは必要?
腹部膨満があるからといって、すべての方に胃カメラや大腸カメラが必要になるわけではありません。
一方で、腹部膨満が長く続いている場合や、ほかの症状を伴っている場合には、胃や大腸などの病気が隠れていないか確認することがあります。
このような「お腹の張り」は早めに受診しましょう

単なるガスや便秘だと思っていても、次のような症状がある場合は、一度消化器内科を受診することをおすすめします。
✅腹部の張りが長く続いている
✅徐々に症状が強くなっている
✅強い腹痛を伴う
✅原因不明の体重減少がある
✅血便・黒い便がある
✅貧血を指摘された
✅吐き気や嘔吐が続いている
✅食事が十分に取れない
✅便通の状態が急に変化した
✅便秘や下痢が長期間続いている
✅発熱を伴っている
年齢や症状、家族歴などによっては、胃カメラや大腸カメラなどによる詳しい検査が必要になることがあります。
まとめ
腹部膨満は日常的によくみられる症状ですが、原因は一人ひとり異なります。
食事や便秘などの身近な要因から、過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアなどの消化管機能の変化まで、さまざまな原因が考えられます。
「お腹が張る=ガスがたまっている」とは限らないため、ガスだけを減らそうとするのではなく、食事や便通、症状の現れ方などを含めて原因を調べることが大切です。
当院の特徴

・専門医による検査・診察
日本消化器病学会・日本消化器内視鏡学会の専門医が丁寧な胃カメラ・大腸カメラを行います。
・土曜日、日曜日の胃カメラ・大腸カメラに対応
平日はお仕事や家事でお忙しい方でも、週末を利用して無理なく検査を受けていただける体制を整えています。
・検査当日の「日帰りポリープ切除」が可能
大腸がんの原因となるポリープが見つかった場合は、検査時にその場で切除し、将来のがんを予防します。
