2026年10月02日

最近、テレビやニュースなどで、芸能人や著名人が大腸がんを公表したという報道を目にする機会があります。
その中には、比較的若い年代で診断された方もいます。こうした報道をきっかけに、「大腸がんは若くても発症するの?」「若い人はどのようなことに注意すればいいの?」と気になった方もいるのではないでしょうか。
大腸がんは年齢とともに発症する人が増える病気ですが、若い世代でも発症することがあります。
国立がん研究センターによると、日本国内の大腸がんの年間罹患者数は15万人以上にのぼり、最も罹患数が多いがんとなっています。
この記事では、大腸がんの基本的な知識や年齢による発症傾向について解説したうえで、近年注目されている「若年発症大腸がん」についても解説します。
大腸がんとは?
大腸がんは、大腸の粘膜から生じる悪性腫瘍です。
大腸は、小腸から続く盲腸、結腸、直腸から構成されています。大腸がんはこれらのさまざまな部位に生じますが、日本では特にS状結腸や直腸に多くみられます。
大腸がんには、いくつかの発生経路があります。代表的なものの一つが、大腸ポリープの一種である腺腫が時間をかけてがん化する「adenoma-carcinoma sequence」です。
一方で、腺腫などのポリープを経ずに生じる大腸がんや、鋸歯状病変の一つであるSSL(sessile serrated lesion)を経て発生するタイプもあります。
このように、大腸がんは一つの経路だけで生じるわけではありません。
そのため、大腸カメラで腺腫などの病変を発見し、適切に切除することは、その病変からのがん化を防ぐという点で重要です。
大腸がんは日本で最も多いがん!?
大腸がんは、日本で非常に多くみられるがんです。
国立がん研究センターの「大腸がんファクトシート2024」によると、日本では年間15万人以上が大腸がんと診断されており、がんの中で罹患数が最も多いとされています。また、年間5万3千人以上が大腸がんで亡くなっています。
このように、大腸がんは決して珍しい病気ではありません。
一方で、早期の大腸がんでは自覚症状がほとんどないこともあります。そのため、年齢だけで大腸がんを自分には関係のない病気と考えないことが大切です。
大腸がんは何歳から増える?
大腸がんは、基本的に年齢が高くなるほど発症する人が増えます。
日本では40歳以上を対象として、年1回の便潜血検査による大腸がん検診が行われています。これは大腸がんの罹患率が年齢とともに上昇することを踏まえたものです。
ただし、40歳未満であれば大腸がんを発症しないという意味ではありません。若い世代でも大腸がんを発症することがあり、近年はこうした若年発症大腸がんが注目されています。

若い世代に発症する「若年発症大腸がん(EOCRC)」
50歳未満で診断される大腸がんは、一般に若年発症大腸がん(Early-Onset Colorectal Cancer:EOCRC)と呼ばれています。
近年、海外では50歳未満の大腸がんが増加していることが報告されており、世界的に注目されています。
日本でも、若年者の大腸がんについて研究が進められています。
2025年に発表された、若年発症大腸がんに関する複数の研究をまとめた報告では、50歳未満で発症した患者の中でも40~49歳が比較的多く、診断時に進行した状態でみつかるケースも報告されています。
ただし、研究によって対象となる患者や「若年発症」の定義、調査方法などが異なるため、これらの結果をすべての国や患者にそのまま当てはめることはできません。
若年発症大腸がんはなぜ起こる?
若年発症大腸がんがなぜ増えているのかについては、現在も研究が続いていますが、明確な原因は分かっていません。
肥満、食生活、運動不足、飲酒、喫煙などの生活習慣に加えて、遺伝的要因、環境因子、腸内細菌など、さまざまな要素が関係していると考えられています。
近年では、出生時や幼少期など、人生の早い時期の環境についても研究されています。2026年に発表された米国の研究では、39歳以下の若年発症大腸がんについて、出生体重や父親の年齢などとの関連が報告されました。ただし、これらが大腸がんの直接的な原因であることを示したものではありません。
また、腸内細菌と大腸がんとの関係についても研究が進んでいます。2025年には、特定の腸内細菌が作り出す物質の一つである「コリバクチン」が、大腸がんの発生に関係している可能性を示す研究が報告されました。
このように、若年発症大腸がんには、生活習慣、遺伝、環境、腸内細菌など、複数の要因が関係している可能性があります。
若い人の大腸がんで注意したいこと
若い世代では、血便があっても「痔だろう」、便秘や下痢が続いても「食生活やストレスの影響だろう」と考え、大腸がんを疑わないことがあります。
血便、便通の変化、腹痛、貧血などの症状が続く場合には、年齢だけで判断せず、必要に応じて医療機関を受診し、原因を確認することが大切です。
また、若い年齢で大腸がんを発症した場合には、遺伝性の要因について検討することもあります。代表的なものにリンチ症候群があり、大腸がんだけでなく、子宮体がんや卵巣がん、胃がんなど、複数のがんの発症リスクが高くなることがあります。
特に、若い年齢で大腸がんと診断された場合や、血縁者に若くして大腸がんを発症した方がいる場合には、家族歴などを踏まえて遺伝性の可能性を検討します。ただし、がんを発症したからといって、必ずしも遺伝性というわけではありません。
まとめ
大腸がんは「年齢だけ」で判断しないことが大切
大腸がんは年齢とともに発症する人が増えますが、若い世代でも発症することがあります。特に、50歳未満で発症する「若年発症大腸がん」は、近年、国内外で研究が進められています。
気になる症状がある場合には、年齢にかかわらず早めに医療機関を受診し、必要に応じて検査を受けることが大切です。
当院の特徴

・専門医による検査・診察
日本消化器病学会・日本消化器内視鏡学会の専門医が丁寧な胃カメラ・大腸カメラを行います。
・土曜日、日曜日の胃カメラ・大腸カメラに対応
平日はお仕事や家事でお忙しい方でも、週末を利用して無理なく検査を受けていただける体制を整えています。
・検査当日の「日帰りポリープ切除」が可能
大腸がんの原因となるポリープが見つかった場合は、検査時にその場で切除し、将来のがんを予防します。
