2026年9月01日

健康診断や自治体の大腸がん検診で行われる「便潜血検査」。便を採取するだけで手軽に受けられ、身体への負担も少ないため、大腸がんのスクリーニング検査として広く普及しています。
受診された方の中には、「便潜血が陰性だったから、大腸は絶対に安心」「毎年陰性だから、大腸カメラは必要ない」と思われている方も少なくありません。
しかし、便潜血検査が「陰性」であっても、大腸がんやポリープが存在する可能性はゼロではありません。
便潜血検査は便の中に目に見えない血液が含まれているかを調べる検査です。大腸の粘膜を直接観察するわけではないため、病変の種類や場所によっては検出できないケースがあります。
本記事では専門的な見地から、便潜血検査が陰性であっても大腸カメラを検討すべき理由と受診の目安を解説します。
便潜血検査は「大腸がんそのもの」を調べる検査ではありません
便潜血検査では、便の中に目に見えない程度の血液が含まれていないかを調べます。
大腸がんや大腸ポリープなどの病変から出血している場合には、便潜血検査が陽性になることがあります。
しかし、大腸の病変が常に出血しているとは限りません。たとえば、病変が小さい、平坦で出血しにくい、出血量がごくわずかで検出限界を下回っている、便の一部にのみ血液が付着している場合には、病変が存在していても陰性になることがあります。
つまり、便潜血検査の「陰性」は、「大腸に病変がない」という意味ではありません。
あくまで「今回採取した便からは、検出可能な量の血液が確認されなかった」という結果です。
大腸の状態をより詳しく調べるには、大腸の粘膜を直接観察できる大腸カメラが必要になります。
便潜血「陰性」でも大腸がん・ポリープが見つかる理由
便潜血検査は、大腸がんの早期発見を目的とした検診として重要な検査ですが、すべての大腸病変を発見できるわけではありません。
特に、大腸がんになる可能性のある腺腫(大腸ポリープ)については、便潜血検査による検出率が約30~40%程度にとどまることが、これまでの研究で報告されています。
つまり、便潜血検査が陰性であっても、将来的に大腸がんへ進展する可能性のあるポリープが存在することがあります。
また、病変の場所によっても発見されやすさは異なります。盲腸や上行結腸などの右側の大腸にある病変は、左側大腸の病変と比べて便潜血検査で検出されにくいことが報告されています。
便潜血検査は、大腸がんの可能性がある人を見つけるための「スクリーニング検査」です。一方、大腸カメラは大腸の粘膜を直接観察し、ポリープや大腸がんなどの病変を見つけるための「精密検査」です。
そのため、便潜血検査が陰性でも、症状や年齢、家族歴などによっては、大腸カメラを検討することが大切です。
便潜血が陰性でも大腸カメラを検討すべき5つのケース
症状や年齢、家族歴などによっては、大腸カメラによる精密な検査が必要になることがあります。
特に、次のような場合には、便潜血検査の結果だけで安心せず、消化器内科に相談することをおすすめします。
1.血便・排便時の出血がある
「便に赤い血が混じる」「トイレットペーパーに血がつく」といった症状がある場合、痔だと自己判断するのは危険です。痔による出血のほか、大腸ポリープや大腸がん、炎症性腸疾患などが原因となっている可能性もあります。
2.便通の異常が続いている
「最近便秘がちになった」「下痢が続く」「便が細くなった」「残便感がある」などの症状は、大腸がんだけにみられるものではありませんが、腫瘍による大腸の狭窄や炎症などが原因となっている可能性もあります。症状が続く場合や徐々に悪化している場合には、一度検査を受けることをおすすめします。
3.原因の分からない貧血を指摘された
特に、鉄欠乏性貧血がある場合には、消化管からの出血が隠れている可能性があります。
消化管からの出血量が少ない場合には、便潜血検査が陰性になることもあります。そのため、貧血の原因が明らかでない場合には、便潜血検査の結果だけで判断せず、胃や大腸など消化管の精査が必要です。
4.血縁者に大腸がんになった方がいる
親、兄弟、子どもなどの血縁者に大腸がんの方がいる場合、大腸がんの発症リスクは一般の方より高くなります。
特に、若い年齢で大腸がんになった血縁者がいる場合や、複数の血縁者に大腸がんの方がいる場合には、より注意が必要です。
家族歴のある方では、年齢や血縁者が発症した年齢などを考慮して、一般的な検診とは異なるタイミングで大腸カメラを検討することがあります。
5.40歳以上で、これまで大腸カメラを受けたことがない
大腸がんのリスクは年齢とともに上昇し、40歳代から増加していきます。
40歳を過ぎてから一度も大腸カメラを受けたことがない方は、現在の大腸の状態を一度確認しておくとよいでしょう。
まとめ
健診結果だけで判断せず、自分に合った大腸検査を

便潜血検査は、大腸がんを早期に発見するための重要なスクリーニング検査です。一方で、便潜血検査だけでは発見が難しい病変もあり、「陰性=大腸に異常がない」ではありません。
血便や便通の変化、原因のわからない貧血などがある場合や、大腸がんの家族歴がある場合には、便潜血検査の結果にかかわらず、医療機関での精査を検討することが大切です。
また、年齢やこれまでの検査歴などを踏まえ、今後の大腸がん予防について考えることも大切です。
大腸がんは早期に発見して治療するだけでなく、大腸ポリープの段階で発見・切除することで、将来の大腸がんを予防できる可能性があります。
「健診では問題なかったから」と安心しきるのではなく、ご自身の症状やリスクに合わせて、適切なタイミングで大腸カメラを検討しましょう。
当院の特徴

・専門医による検査・診察
日本消化器病学会・日本消化器内視鏡学会の専門医が丁寧な胃カメラ・大腸カメラを行います。
・土曜日、日曜日の胃カメラ・大腸カメラに対応
平日はお仕事や家事でお忙しい方でも、週末を利用して無理なく検査を受けていただける体制を整えています。
・検査当日の「日帰りポリープ切除」が可能
大腸がんの原因となるポリープが見つかった場合は、検査時にその場で切除し、将来のがんを予防します。
