2026年8月27日

「ピロリ菌は除菌したから、もう胃がんの心配はないですよね?」
診察の際、このような質問を受けることがあります。
ピロリ菌の除菌治療は、胃がんの予防という意味で非常に重要です。
しかし、「除菌に成功した=胃がんになる可能性がなくなった」というわけではありません。
これまでピロリ菌に感染していた方では、除菌後も胃粘膜の変化が残存することがあり、胃がんが発生する可能性があります。
そのため、ピロリ菌を除菌した後も、胃の状態を定期的に確認することが大切です。
今回は、ピロリ菌除菌後にも胃カメラが必要な理由について、現在の知見をもとに解説します。
ピロリ菌を除菌すると胃がんのリスクは下がる
ピロリ菌は、胃の粘膜に感染して慢性的な炎症を引き起こす細菌です。
長期間感染が続くと、
ピロリ菌感染→ 胃粘膜の炎症→ 胃粘膜の萎縮・ 腸上皮化生→ 胃がん
という経過をたどることがあります。
そのため、ピロリ菌を除菌することは、将来の胃がんリスクを低下させるために重要です。
実際、2024年までに報告された複数の臨床試験をまとめた解析では、ピロリ菌を除菌することで、胃がんの発生リスクが約3~4割低下することが示されています。
一方で、ピロリ菌を除菌したからといって、胃がんのリスクがなくなるわけではありません。
なぜ除菌した後も胃がんになることがあるの?
ポイントは、ピロリ菌そのものと、ピロリ菌によって長年受けた胃粘膜のダメージは別の問題だということです。
ピロリ菌を除菌すると、感染による炎症は改善していきます。
しかし、長年の感染によって生じた胃粘膜の萎縮や腸上皮化生などが、すべて元の正常な状態に戻るとは限りません。そのため、除菌後も定期的な胃カメラが重要です。
「除菌したら胃カメラは不要」は誤解です

日本ヘリコバクター学会の2024年改訂ガイドラインでは、除菌後に長期的なサーベイランスが不要となる患者さんを現時点では特定できないことから、除菌後も長期的なフォローを行うことが推奨されています。
そのため、「萎縮が軽いから大丈夫」「若いからもう検査しなくてよい」と一律に判断するのではなく、一人ひとりの胃粘膜の状態や胃がんリスクを考慮して、フォローの方法や間隔を検討することが重要です。
除菌後は「いつ胃カメラを受けるか」が重要
では、除菌後は何年ごとに胃カメラを受ければよいのでしょうか。
実は、すべての人に同じ検査間隔が決められているわけではありません。
現在の知見では、除菌後の胃がんサーベイランスについて、胃粘膜の萎縮や腸上皮化生、胃がんの既往などを考慮して、検査間隔を個別に検討することが重要と考えられてます。
特に注意が必要な方
胃粘膜の萎縮や腸上皮化生がある方、胃がんの治療歴がある方では、除菌後も胃がんのリスクが残るため、定期的な胃カメラによる経過観察が重要です。
また、胃がんの家族歴がある方でも、リスクを考慮して経過観察が必要になる場合があります。
そのため、除菌した時期だけでなく、現在の胃粘膜の状態やこれまでの病歴などを確認したうえで、適切な間隔で経過をみることが大切です。
除菌後の胃カメラで確認するポイント
1.「本当に除菌できているか」を確認する
除菌治療を受けた後は、薬を飲み終えたことだけで「除菌成功」と判断してはいけません。
尿素呼気試験や便中H. pylori抗原検査などで、除菌が成功したことを確認することが重要です。
2.過去の検査結果を伝える
以前の胃カメラで「胃粘膜の萎縮や腸上皮化生」などを指摘されたことがあれば、今後の経過をみるうえで参考になります。可能であれば、内視鏡検査や病理検査の結果を持参しましょう。
また、いつピロリ菌を除菌したのか、除菌後の判定を受けたかも医師に伝えましょう。
まとめ
ピロリ菌の除菌によって胃がんのリスクは低下しますが、除菌後も胃がんのリスクが完全になくなるわけではありません。
特に胃粘膜の萎縮や腸上皮化生がある方では、除菌後も定期的な胃カメラによる経過観察が大切です。「ピロリ菌を除菌したから、もう胃カメラは必要ない」と考えず、適切な間隔で胃カメラを受けることをおすすめします。
当院では、ピロリ菌感染の診断・除菌治療だけでなく、除菌後の胃粘膜の状態を胃カメラで確認し、患者さん一人ひとりの胃がんリスクを考慮した診療を行っています。
「昔ピロリ菌を除菌したけれど、その後胃カメラを受けていない」という方も、ぜひ一度ご相談ください。
当院の特徴

🔸専門医による検査・診察
日本消化器病学会・日本消化器内視鏡学会の専門医が丁寧な胃カメラ・大腸カメラを行います。
🔸土曜日、日曜日の胃カメラ・大腸カメラに対応
平日はお仕事や家事でお忙しい方でも、週末を利用して無理なく検査を受けていただける体制を整えています。
🔸検査当日の「日帰りポリープ切除」が可能
大腸がんの原因となるポリープが見つかった場合は、検査時にその場で切除し、将来のがんを予防します。
