2026年6月03日

「健康診断でピロリ菌がいると言われたけれど、特に症状もないし…」
「除菌って本当に必要なの?」
そんなふうに迷われている方はいませんか?
ピロリ菌は胃がんの最大の原因と言われています。
無症状だからと放置していると、知らない間に胃の粘膜が蝕まれ、取り返しのつかない病気を招く恐れがあります。
今回は当クリニックによく寄せられる疑問にお答えしながら、ピロリ菌の検査や治療について分かりやすく解説いたします。
1. ピロリ菌とは?どうやって感染するの?
ピロリ菌は、胃の粘膜に棲みつく細菌です。通常、胃の中は強い酸性(胃酸)のため細菌は生きていけませんが、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を産生して周囲の胃酸を中和し、胃の中で生息し続けることができます。
感染の多くは、胃酸の分泌が少なく免疫機能も未熟な乳幼児期に成立します。かつては上下水道の整備が不十分だったため、汚染された水を介した感染が主な経路でした。しかし現在では、ピロリ菌を保有している家族(両親や祖父母など)から幼い子どもへ、食べ物の口移しなどを通じて家庭内で感染するケースが多いとされています。一方で、中学生以降や成人になってから日常生活の中で新たに感染することは、ほとんどないと考えられています。
2. 放っておくとどうなる?
(ピロリ菌が引き起こす病気)
ピロリ菌が長期間胃に生息し続けると、慢性的な炎症が起こります。胃カメラで観察すると、胃粘膜の萎縮や、鳥肌のような荒れ(鳥肌粘膜)、過形成性ポリープなどが見られることがあります。
ピロリ菌感染症が関与する病気は、以下のようなものがあります。
・萎縮性胃炎(慢性胃炎)
・胃、十二指腸潰瘍
・胃がん
・MALTリンパ腫
・機能性ディスペプシア(FD)
・免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病(ITP)
・鉄欠乏性貧血
3. 当院でのピロリ菌検査
ピロリ菌の検査は一生に何度も受けるものではないため、精度の高さが何より重要です。ピロリ菌が潜んでいるのに「陰性」と診断され、胃がんの発見が遅れることは絶対に避けなければなりません。当クリニックでは、保険適用となる「胃カメラ(内視鏡検査)」と組み合わせて、正確な診断を行っています。
<検査方法>
・尿素呼気試験(UBT) 息を吐くだけの精度の高い検査です。
・血中抗ピロリ抗体検査 採血により血液中の抗体価を調べます。比較的簡便に受けられるため、感染のスクリーニング検査として広く行われています。
・便中抗原検査 便の中に含まれるピロリ菌の抗原を調べる検査です。
4. ピロリ菌の治療(除菌)とよくあるご質問
保険診療による標準的な除菌治療は、「胃酸を抑えるお薬」と「2種類の抗菌薬」を7日間内服するだけです。これにより、80〜90%の高い確率で除菌に成功します。

Q. 一度除菌しても、再感染することはありますか?
A.大人になってからの再感染は「ごくまれ」です。
除菌成功後に再感染する確率は年間1%未満ですので、日常生活でうつる心配はほぼありません。
「再感染した」と思われるケースの多くは、実は最初の除菌が完全にしきれておらず、隠れていた菌が再び増えた(再燃)ケースがほとんどです。そのため、当院では内服終了後の「除菌判定検査」を非常に大切にしています。
Q. 除菌に成功したら、もう胃がんは心配ないですか?
A.ここが最も重要なポイントです。「除菌成功=胃がんにならない」ではありません。
除菌によって胃がんリスクを3分の1から4分の1程度に減らすことはできますが、ゼロになるわけではないのです。
長年ダメージを受けた胃の粘膜(萎縮性胃炎)は完全には元の綺麗な状態に戻らないため、そこからがんが発生することがあります。
5.クリニックからのお願い
除菌後も「定期的な胃カメラ」を!
ピロリ菌の除菌は、胃がん予防の「ゴール」ではなく「スタート」です。
胃がんは初期段階では自覚症状がありませんが、定期的に胃カメラを受けていれば、万が一、がんができても早期に発見し、内視鏡治療だけで完治させることが可能です。
「昔、除菌したから大丈夫」と安心せず、定期的な胃カメラ検査をご受診ください。
40歳以上で一度も胃カメラを受けたことがない方や、胃もたれ・不快感が続く方は、ぜひお気軽にご相談ください。
ピロリ菌の検査・治療から除菌後のフォローまで、しっかりとサポートさせていただきます。
